家を探すときの参考にしてもらえればと思うのですが、心理学的に住まないほうが良い場所というのがあります。
これは東京都〇〇区に住んではいけないといったエリアの話ではありません。
確かに治安の悪いエリアに住むと子供の脳の発達に悪影響を及ぼすという研究結果があるのは事実です。
今回はそちらではなく、こういった条件が揃った場所には住まないほうが良いという話です。
なので治安が良いとされるエリアであっても、その条件に該当してしまったら住まないほうが良いといえます。
どのように良くないかというと、メンタルに悪影響が出るということと、貧乏になるということです。
具体的にどういう場所がダメかというとファーストフード店がある場所です。
勘違いしないでほしいのですが、ファーストフードを食べるかどうかが問題ではありません。ファーストフード店があることが問題です。
ファーストフード店が多い場所に住んでいると喜びを感じにくい
トロント大学のジュリアン・ハウス博士たちが行った調査があります。
インターネットのアンケートで、楽しいことをどれだけ感じ取れるかという心理テストに回答してもらいました。このときに郵便番号も記入してもらっています。
回答を集め、研究者がその郵便番号をもとにエリアごとのファーストフード店の密集度を調べました。
するとファーストフード店が多い場所に住んでいる人間ほど、楽しいことを体験したときにその喜びを受け取りにくい傾向にあるということが分かりました。
頻繁にファースフードを食べているからだと思うかもしれませんがそうではありません。
ファーストフード店のパッケージが幸福感を減らす
次の実験では「広告の評価をしてください」といって食べ物の写真を見せました。
ただし広告の評価というのは参加者に実験の意図がバレないようにするためのフェイクの理由です。
全く同じ食べ物を異なる容器で見せる
この実験では参加者を2つのグループに分けてそれぞれに違う写真を見せています。
1つのグループにはファーストフード店のパッケージに入っているハンバーガーやポテトの広告写真が見せられました。
もう1つのグループには陶器製の食器に入ったハンバーガーとポテトの広告写真が見せられました。
入れ物が違うだけで食べ物は全く同じものが写っています。
ファーストフード店のパッケージが幸福感を減らす
その後で今度は、綺麗な自然風景の写真が見せられます。(人間はこういう写真を見ると幸福感を持ちやすい)
そして幸福度についてのアンケートを行いました。
するとファーストフード店のパッケージに入っているハンバーガーやポテトの写真を見せられたグループは、陶器に入っているほうを見せられたグループよりも幸福度が低かったのです。
なぜこうなったかというと、ファーストフード店のパッケージが綺麗な自然風景の写真から得られる幸福感を減らしたからです。
これと同様の実験で音楽を聴くときもファーストフード店をイメージさせられてしまうと、その音楽の良さを感じにくかったり焦燥感を持ちやすいということが分かっています。
幸せを感じる感覚を鈍くし焦燥感を感じさせる
なぜこのようなことが起こるのでしょうか?
それはファーストフード店が忙しい現代社会の象徴になっているからではないかと考えられます。
なのでファーストフードを食べなくても、それをイメージさせるものが視界に入るだけで、幸せを感じる感覚が鈍くなったり焦燥感を感じてしまう可能性があるということです。
貧乏にもなりやすい
この実験を行ったジュリアン・ハウス博士の別の実験でさらに分かっていることがあります。
ファーストフード店が多い地域に住む人間というのは、貯金などの金融資産が少ないということも分かったのです。
なぜかというとファーストフード店が多い地域に住む人間は「後で手に入る大きな金銭的メリット」よりも「すぐに手に入る小さな金銭的なメリット」を欲しがる傾向にあるからです。
極端な話をすれば来月もらえる2万円よりも今もらえる1万円を選びがちということです。その結果、金融資産が増えにくいのです。
こういった目先のメリットを選ぶようになる原因も、ファーストフード店のイメージから生み出される焦燥感が原因ではないかとされています。
なのでファーストフード店が近くにある場所に住むと、その店の外観や看板、そこの袋を持っている客などを見かける機会が増えるので、メンタルに良くないうえに、経済的な判断も誤らせる可能性があるということです。
家を探すときはそういったポイントも注意してみると良いと思います。
参考文献
Julian House, et al. (2013). Too Impatient to Smell the Roses: Exposure to Fast Food Impedes Happiness.
Julian House and Sanford Devoe. (2013). Fast Food and Financial Impatience: A Socioecological Approach.