ドメインてありますよね。分かりやすく言うとサイトのトップページのURLです。
例えばヤフーであれば「yahoo.co.jp」がドメインです。このサイトであれば「ceobrain.jp」です。
他の人が使っていない文字列であればサイトの運営者が好きなものを選ぶことができます。
仮に他の人が使っていたとしても、お願いして売ってもらうことは可能です。相手がOKしてくれればですが…
最近のネットユーザーはGoogleなどの検索エンジンにキーワードを打ち込んでウェブサイトに辿り着きますから、ドメインの文字列にこだわる必要はありません。
しかし、それでもメジャーな単語であればドメイン自体が検索に引っ掛かることもありますから、アクセス数を増やすのに有利です。
例えば「sex.com」というドメインで卑猥なサイトを運営したら、多くの閲覧者を集めることができますから儲かります。
このドメインが最後に取引されたのは2010年で価格は1300万ドルでした。当時は世界で最も高値で取得されたドメインとなりました。
「sex.com」の数奇な運命
「sex.com」のドメインを最初に取得したのはゲイリー・クレメンという起業家です。MATCH.comという世界最大規模の出会い系を創業した人物です。
1994年に取得しました。当時は今ほどサイトを運営している人もいませんでしたから、シンプルな単語でも空いていたので取得できたのです。
最初の取得費はプレミアがついていませんから、他の文字列と同じ金額です。せいぜい数十ドルだったはずです。日本円で数千円でしょう。
ドメインを盗んだ詐欺師は1億ドルの利益を上げる
クレメンは「sex.com」を取得したものの、サイトを運営することなく、保持したままにしていました。
そこに目をつけたのが、スティーブン・M・コーエンという人物です。
コーエンはドメイン登録会社に「権利者が変わった」と虚偽のファックスを送りました。それを信じてしまったドメイン登録会社が、クレメンからコーエンへと「sex.com」の所有者を変更してしまったのです。
そしてコーエンは自分でサイトを運営し、1億ドル以上の利益を上げたといわれています。
訴訟して取り返すも…
ドメインを奪われたことに気づいたクレメンは訴訟を起こし、「sex.com」のドメインを取り返しました。
そしてコーエンへの賠償命令も下されました。
しかし、コーエンは資産を海外口座に隠したうえに、「もはやお金がない」と主張しており、賠償金を支払っていません。
ちなみに、きちんと確認せずに所有者を変更してしまったドメイン登録会社からはコーエンへ賠償金が支払われています。
取得企業が破産し1300万ドルで落札される
ドメインを取り返したクレメンは2006年に「sex.com」をエスコムという企業に1,150万ドルで売却します。
しかし、エスコムは2010年に破産してしまい、「sex.com」は債権者への支払いに充てる資金を作るために競売にかけられます。
数社による入札が行われ、最終的には1300万ドルでクローバー・ホールディングス・リミテッドという企業が落札しました。
ドメインの取引額としては当時の最高額です。(最近では「voice.com」「360.com」などがさらに高い値段で取引されています)
「sex.com」の月間収益はいくらか?
現在、「sex.com」は18禁の動画サイトとして運営されています。
このサイトがいくらの収益を上げているのかは公開されていません。
ちなみにツールで調べると月間アクセス数は4,000万前後と思われます。
サイトに掲載するクリック広告から入ってくる収益は、ジャンルによって異なりますが、ドルベースではアクセス数の1%から10%です。
それだけでも4万ドルから40万ドルが毎月入ってくるということです。
その他にも固定費を払ってもらえるスポンサー広告や、サイト自体が提供するサービスの収益もあります。
そう考えるとドメイン取得費の1300万ドルを回収するのは、それほど難しくなさそうです。
既に回収し終わっているのではないでしょうか。
ドメインだけでも月額数十万円
ちなみに「sex com」というキーワードだけでも、Googleでは月間400万回以上検索されています。
当然、検索の一番初めに出てくるのは、「sex.com」です。
検索順位1位のサイトがクリックされる確率はジャンルにもよりますが10~20%です。
つまり、仮に広告だけの1ページのサイトだったとしても、数十万円は稼げる可能性があるということです。
広告だけのサイトですとやがて検索順位が落ちますので永遠に稼げることはありませんが…
ドメインを確保して一攫千金できるか?
シンプルなドメインというのは夢がありますね。
もしかしたら、自分もドメインを取得して一攫千金を狙おうと思った人もいるかもしれません。
しかし、残念ながら日常会話で使用される一般的な単語はほぼ全て取得されています。
ですから、新規に取得することは不可能です。
保有している人が更新し忘れてしまったタイミングで横取りすることは可能ですが、そんなことは滅多に起こりません。
また、ドメイン名は登録商標となり得ますので、空いたからと他社の商品名や社名を取得して運営すると、訴えられる可能性もありますから注意しましょう。
中古ドメインは検索エンジンで順位低下のリスクあり
更新忘れされがちなドメインとして、映画の公式サイトのものがあります。
忘れたというより公開が終了したので放棄したパターンが多いのですが…
これらのドメインは割と簡単に取得できます。「ムームードメイン」や「お名前ドットコム」といったドメイン登録会社から数百円で取得することが可能です。
既に他のサイトからのリンクが張られているので、新規で取得したドメインよりも検索で上位に出てきやすいとされることもあります。
しかし、2024年3月のGoogleの検索アルゴリズムのコアアップデートによって、こういった中古ドメインは検索順位が低下するリスクが大きくなりました。
映画の公式サイトに限らず、過去に使用されていたドメインを使用して自社サイトを運営するときはくれぐれも注意しましょう。