私のクライアントにも愛人を作っている社長はいます。
これ自体は大いに結構です。
人間という動物が一夫一婦制に向いてるのかどうか分からないのですし、優秀なオスに複数のメスが群がるのは自然なことです。
無能な男の妻になるくらいなら、有能な男の愛人になったほうが良いという考えの女性だっています。
ただし、愛人を会社に関わらせることだけは絶対にしてはいけません。
愛人が関わって伸びた会社はありません。それどころか傾く可能性の方が高いです。
それと愛人手当を給料や業務委託費として払うのもやめた方が良いでしょう。税務調査で必ずバレますし愛人のためにもなりません。
女性で身を滅ぼす社長もいるので、今回は愛人との安全な付き合い方について書いておきます。
愛人を関わらせると経営が傾く理由
非常に理解し難いことなのですが、愛人を自分の本業の会社に関わらせたがる社長が少なくありません。
もともとの社員を愛人にしたパターンならまだ分かりますが、夜の店で知り合ったオネーチャンを入社させてしまうようなこともあります。
関係者全員が不幸になるようなことはやめるべきです。愛人が会社を潰す理由を説明しておきます。
社長の判断を鈍らせる
愛人を会社に関わらせてはいけない一番の理由は社長の判断を鈍らせるからです。
人間の脳は恋愛感情やエロい感情が発生しているときに普段と異なる判断をしてしまうことが分かっています。
昔のビールの広告に水着の女性を起用していたのもこのためです。水商売という業態そのものもこの仕組みを利用しています。判断力を低下させて必要のない酒まで買わせようとしているのです。
それに男性は女性の前でカッコつけたがるので余計なリスクを負うことも分かっています。
つまり愛人が仕事中も側にいることで社長の直感が鈍るので経営判断を間違いやすいということです。
愛人が経営に口出しし始める
愛人をやるような女性は男性の権力を自分の権力と勘違いするタイプが多いです。そして会社経営や人事にまで口出しし始めます。
そして取引先にまで偉そうに振る舞い、恨みを買うので会社ごと刺されるのです。
40年以上も前の話ですが三越の岡田茂社長の愛人である竹久みちが社内にまで介入し、最終的に逮捕までされた事件が有名です。
このような事例は大企業に限らずどんな規模の会社でも起こっています。むしろコーポレートガバナンスが効きにくい中小企業の方が多いです。
愛人が経営に口出しし始めたら会社は終わると思ったほうが良いでしょう。
特に今の時代に愛人稼業をやろうと考える女性に経営の才覚がある可能性は非常に低いです。
なぜなら今は女を売るなら顔出しせずともネットでもっと楽に稼ぐ方法がある時代です。そんな時代に愛人を選択する時点でビジネスの判断としては0点です。
会社ごと乗っ取るために男を利用しようという女性なら見込みはあるかもしれません。私もそういう女性は好きです。
しかし小遣い程度で愛人稼業を選ぶ人間はセンスがないので経営に口出しさせてはいけません。
社員が社長を舐めるようになる
起業家というのは社員から嫌われていたとしても、ビジネスマンとしては多少の敬意を持たれているものです。
しかし、愛人を社内に入れた途端にその敬意も失われます。
社員の前で愛人の言うことを聞いている姿を見られようものなら馬鹿にさえされます。
それどころか「ベッドの上ではドMなんじゃないか?」と噂されます。
起業家はマゾのほうが多いので構いませんが、社員からそう見られてしまったら完全に舐められます。
表立っては馬鹿にしたりはしないでしょうが、心の中では馬鹿にしているのでやがて統制が取れなくなり、組織としての体をなさなくなります。
愛人に本気になってしまう社長
愛人とは金だけの割り切った関係にしておくよういつもアドバイスするのですが、本気になってしまう社長がとても多いです。
というのも愛人をやる女性は不幸な生い立ちや苦境に立たされていることが多いからです。こういう女性に権力者は本気になりやすいものです。
女性が金で靡(なび)いてしまうというのは、自己肯定感が低いということであり、その原因は家庭環境にあることが多いのでよくある話ですが。
そういった事情を知ると「俺が助けてやらなければ」という気持ちになる社長は多いのです。
社長に限らず、男性はみな不幸な生い立ちの女性を救う権力者になりたい願望があるのだと思います。
映画『プリティ・ウーマン』のエドワード(演:リチャード・ギア)になりたいのです。
それを本能的に分かっている愛人は不幸アピールをします。不幸でなくともそういう設定でやってくるのです。
そしてそういったフリに騙される社長が多いのです。いまだに「難病のお母さんの手術代詐欺」に騙される社長がいるのには驚きです。
愛人への手当を給料として払うな
愛人手当を給料という形で払いたくても、自分の会社から払うのはやめるべきです。
仮に出社させずに書類上の社員としておいても総務や経理にはバレます。当然社内の全員が知ることになります。そしてさっきも言った通り馬鹿にされます。
愛人を作るだけでは馬鹿にされません。その処理を会社でやろうとするだらしなさを馬鹿にされるのです。
完全な脱税なので税務調査が入ったら追徴も喰らいます。
それに愛人と本業の会社を関わらせるということは関係が拗れた場合に相手に弱みを握られるということでもあります。
「愛人手当を給料として貰ってましたって税務署に言っても良いの?」と脅されるリスクもあると考えておくべきです。
業務委託費という形でもダメです。
当然ですが手渡しであっても相手が贈与税を脱税していることになります。
愛人にどうやってお金を渡せば良いか?
ではどのように愛人にお金を渡せば良いのでしょうか?
別で会社を作って社員としてしっかり仕事をさせれば良いのです。
本気で大切に思っているならそれが一番良いです。
愛人稼業というのは、若さという劣化しやすい資産を現金という劣化しにくい資産に変えている行為です。
何の能力も持たない人間の経済行動としては悪くはないのかもしれません。
しかし若さという資産はあっという間に消滅します。売り物の在庫がなくなるのです。
そしたらもう稼ぐ手段はなくなります。
愛人手当を渡すのは生きる力を奪う行為
それまで楽に金を貰うことに慣れた人間が普通の仕事をするのは難しいです。そもそも平均的な給料がもらえる普通の仕事でさえ雇ってもらえません。
仕事もしない人間に金を与え続けるというのは、生きる力を失わせ続けるということです。
本当に大切に思うのなら魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教えるべきです。
そうでないなら、個人の財布から金だけ渡す割り切った関係にすることです。少なくとも申告の義務は相手側にしかないので自分の問題にはなりません。
というよりそれが本来、愛人との正しい付き合い方です。
愛人にマンションをあげるな
余談ですが愛人にあげたものは逃げられても取り返せないと思ったほうが良いでしょう。
なぜなら愛人契約のような不法な原因によって給付したものは不当利得としての返還を請求できないからです。民法にそう定めてあります。
マンションであっても登記もしくは引き渡しが済んでいたら取り返すのはほぼ不可能です。
愛人を作るなとは言いませんが様々なリスクを考慮すべきです。