ヒット映画と人気店になるレストランの共通点!流行を予測する方法

経営者は流行りものに敏感でなければなりません。

今人気のレストランに行くべきですし、話題になっている映画は見ておくべきです。

日本マクドナルドの創業者である藤田田(デン)社長も会社の金で毎月1回、全社員に強制的に最新の映画を見せていました。

その映画が流行する背景には民衆のどのような心理状態があるのかを想像させ感性を磨かせたのです。

実際に周りを見渡しても自分の興味のアリナシに関わらす、成功している経営者は流行りものは抑えておくというタイプが多いです。

世の中のトレンドを知らなければ企業経営の勘所はズレるので大事なことです。

流れを抑えることで次にヒットするものも予測できるのです。(心理学に基づくヒット予測については後述)

ちなみにカナダ・トレント大学の研究によると『トスカーナの贋作』のような芸術的な映画を見ると他人の感情を読む能力が高まることが分かっています。

さらに夫婦で恋愛映画を見た後でそれについて語り合うと、カップルカウンセリングを受けたのと同じくらいの効果が得られるという研究もあります。

『THE FIRST SLAM DUNK』が大ヒットした面白さ意外の理由

私事ですがコレド室町のTOHOシネマズ日本橋のようなオフィス街にある映画館で平日の午前中から鑑賞するのがちょっとした贅沢な時間です。

空いていますし変な客との遭遇率も低いです。そして近くのレストランやカフェも空いています。

最近は『Winny』『THE FIRST SLAM DUNK』『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』を観ました。

一般的なヒット理由

特に『THE FIRST SLAM DUNK』は大ヒット中です。

なぜここまでヒットしているかといえば、一つは単純に『スラムダンク』という伝説的な人気漫画が原作であり、作者の井上雄彦が監督・脚本をしているからです。これでヒットしない方が不思議です。

そして実際に面白いです。ネタバレするので内容には触れませんが、OP曲の『LOVE ROCKETS』(The Birthday)も、ED曲の『第ゼロ感』(10-FEET)も映像と良く合っていました。

そのため口コミも良く、それを見て映画館に足を運ぶ人間も多いです。

漫画もアニメも大好きでその影響でバスケ部に入ったくらいの自分も大満足でした。

実は最初からヒットする条件があった

実はこの映画は当初から、あまり知られてはいませんがヒットする条件の一つとされるものが揃っていました。

それは何かといえば口コミの「熱量」です。

知っている人も多いと思いますが映画『THE FIRST SLAM DUNK』はTV放送されていたアニメ『スラムダンク』とは声優が変わっています。

声優の発表が前売り券の発売後だったこともあり、賛否両論が巻き起こりました。

元からのアニメファンの中には「桜木花道の声は草尾毅でなければならない」という人もいましたし、「(映画で花道の声をやった)木村昴を聴いてからイチャモンをつけろ」という人もいました。

実はこのように初期段階から強い感情の込められた口コミが数多くあるものはヒットしやすいのです。

口コミの内容が良いか悪いかは関係ありません。感情の強さが重要なのです。それも初期段階においてです。

良くも悪くも情動を動かすことでヒットさせられる

これを示すマサチューセッツ大学の研究があります。

この研究では映画のレビューサイトでそれぞれのタイトルごとに最初に投稿された30件のクチコミを分析しました。

具体的には「Evaluative Lexicon」という分析ツールを使ってクチコミの情動性を評価したのです。

これは良い評価か悪い評価かということではありません。どれだけ感情が込められた言葉が使用されているかです。

たとえば「awe-inspiring(畏敬の念を抱かせる)」という単語と「impeccable(非の打ち所がない)」という単語では前者のほうが情動性が高いといえます。

この分析から分かったことは、情動性の高いクチコミが多い映画ほどその後にヒットする可能性が高いということです。

なぜこのような結果になったのかというと、情動を呼び起こされた体験は記憶に残りやすく友人などとの会話でも話題に出やすくなるため、それがクチコミを広めヒットにつながるからです。

それが初期段階であればあるほど、残りの上映期間は長くなるため、より多くの客が来るということです。

レストランを人気店にするには感情を揺さぶれ

今回の分析では星の数と映画がヒットするかどうかに相関はないということも分かりました。高評価だからとヒットするとは限らないのです。

またアマゾンの本やレストランの評価サイトでも同様の分析を行ったところ、クチコミの情動性の高さとその後の人気に相関があることが分かりました。

感情に根ざした言葉をどれだけ使っているかという視点でクチコミ内容を確認すると、公開されたばかりの映画やオープンしたばかりのレストランが人気になるかどうか予測できるというわけです。

反対に、経営するレストランを人気店にしたければ、オープンしたばかりの頃に来てくれた客の感情を揺さぶることが大切ということです。

オウンドメディアや投資にも活かせる

口コミの熱量からヒットを予測することは、エンタメや飲食以外の経営者にも利益を与えてくれます。

映画が公開された直後や本が発売された直後にそれらがヒットするか予測できれば、早めにオウンドメディアなどで取り上げる準備ができるので消費者が注目する頃には他社に先行できます。

また株価にも影響する可能性がありますから、投資判断にも活かせます。(あくまで投資は自己責任ですが)

自分が面白いと思うものと世間でヒットするものにズレがあるという経営者は口コミの熱量という視点を持ってみると、勘を磨くことができるかもしれません。

余談ですが、映画の公式サイトで使用されたドメイン(URL)はしばらくすると更新せずに放棄され誰でも取得できるようになることが多いです。

今はどうか知りませんが数年前までは中古ドメインとしてそれなりに使えました。被リンクも良質なものがついていますし、中古ドメインの売買サイトではなく「お名前.com」や「ムームードメイン」などで普通に取得できることもあります。

参考文献:Matthew D. Rocklage,et al.(2021).Mass-scale emotionality reveals human behaviour and marketplace success.

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