先日、母が食事をしたお店の中で面白いものを見たと言っていました。
七福神のような置物の前に賽銭箱があったそうです。
お正月のテンションが残っていたこともあり、母はそこに賽銭を入れたのだとか。(確か100円くらい)
それを見ていた店員さんがかなり喜び、その由来を説明をし、会計時にはその七福神のイラストが書かれたシールまでくれたとのことです。
母はとても嬉しそうにそのシールを財布の中にお守りのように入れていました。
さらに、そのお店がいかに素晴らしいかを嬉々と語ってくれました。そして「今度は皆で一緒に行こう」とまで言っていました。
シール1枚でこんなにも喜んでいるというのは凄いなと思いました。値引きはされていませんし、賽銭まで払っているのにです。
しかし、ここに顧客満足度を高めるヒントがあります。
顧客満足度を向上させようと思ったら、ちょっとしたストーリーと共にオマケをつけるのが良いのです。
体験の共有が店への愛着を増やす
なぜストーリーとオマケが重要なのでしょうか?
それは感情を動かし、いつまでも残り続けるからです。
顧客満足度を高める施策として「値下げ」を考えることもあります。
しかし、値下げというのは商品の価値を下げることになります。
しかも値下げされたという記憶は時間が経過すると忘れてしまいます。
オマケであれば物がそこに残り続けるため、思い出す機会も多いです。
さらにストーリーがあれば効果的です。体験を共有することで店に対する愛着がわきやすくなるのです。
高額商品の価値が無料のオマケにも伝染する
高額な商品やサービスを扱っている場合にオマケによる顧客満足度向上の効果はさらに強まります。
これは時計やバッグなど超高級品に限ったことではありません。
他社の商品に比べて高額なものであれば食品などの日用品にも当てはまります。
その仕組みを簡単に説明しましょう。
例えば10万円の商品を9万円に値引きして販売したとします。このとき消費者は1万円の得をしたと考えます。
しかし10万円の商品に1万円のオマケをつけても1万円の得をしたとは考えません。
それ以上の得をしたと考えるのです。人によっては10万円のものを貰ったのと同じレベルの喜びを脳内で感じます。
なぜなら無料で貰ったオマケでもブランド価値のある高額商品と組み合わせることによってその価値が高まるからです。
100均で売っているような商品でも高級ブランドでオマケとしてもらったものは高価に感じるのです。
例えば、レクサスで貰ったオリジナルグッズは同品質の他社商品よりも価値があるように感じます。自動車の高級感がその商品にも伝染するのです。
メルカリなどでブランドのアメニティが高額で取引されていることからも、このことは明らかといえます。
「2つ目は半額」という売り方は商品価値を下げる
一方で値引きは顧客満足度を高めないどころか、逆効果となることもあります。
特に「2つ目から半額」といった値下げ方法はブランド価値を棄損させます。
スーパーマーケットを対象に行った調査があります。
まず最初に8.95ドルのオーガニックの高級トマトソースに、オマケとしてパスタをつけました。
その後にそのオマケで貰ったパスタが販売されていたとしたら、いくらまでなら払うかを顧客に聞きました。
その回答は平均で2.95ドルでした。
今度は高級トマトソースを買ってくれた顧客にはパスタを値引きするという特典をつけました。(50セントで買えるようにしたのです)
そしてそのパスタが値引きされていなかったとしたら、いくらまでなら払うか聞きました。回答の平均は1.83ドルでした。
パスタに50セントを支払わせたことによってその値段の印象がついてしまい、オマケとして無料で貰った人たちよりも低く評価したのです。
この実験から分かることは「この商品Aを買ってくれたら商品Bを50円で売ります」という販売方法はブランド価値を棄損するだけなのでやめたほうが良いということです。
中途半端にお金を取るくらいなら無料であげたほうが満足度は高まります。
頻繁に値引きをしているとブランド価値を毀損するだけではなく「最初からその値段で売ればいいのに」と顧客から反感を持たれることもあるので気をつけましょう。
ブランド価値を高めれば値引きの必要はない
消費者は店頭で服を見て気に入った場合に「安くなるまで待とう」と思うことがあります。
これはブランド物でもそうでないものでも起こり得ることです。
しかしブランド物や高級なサービスの場合は「売り切れてしまったらどうしよう」「混雑して予約が取れなかったらどうしよう」と心配をする人が多いです。
これは心理学の調査でも分かっています。なのでブランド価値を高めれば値引きの必要はありません。
とはいえブランドを育てるには時間が掛かります。
まだ発展途上のときはどうすれば良いでしょうか?
それは値引きしようと思った金額を広告費に回すことです。
こうすることによってブランド価値を棄損することなく販売数を増やすことができます。
一度でも傷ついたブランドイメージを回復させるのは非常に難しいです。
安易な値引きは長い目で見れば逆効果となるので注意してください。
また常に値引きを求めるような卑しい客層を相手にしていると従業員のメンタルにも悪影響が出てしまいます。