せっかくお問い合わせが来ても、購買や契約に結び付かないということはないでしょうか?
そんなときはほんの少し返信内容を変えてみましょう。
それによって顧客の心理が変わり、売上アップにつながります。
お問い合わせへの返信が購買意欲を変化させる
お問い合わせされる内容というのはたいてい決まっています。
だからといって定型文のような返信になっていないでしょうか?
そこまでいかなくとも、いつも同じような返信になっていないでしょうか?
これは非常にもったいないです。
ほとんどの潜在顧客はウェブサイトやチラシを見て多少の興味を持ったとしても、そのまま何もせずに離れていくのです。
そんな中でも極少数が電話やメールでお問い合わせをしてくれるのです。購買意欲がとても高まった状態になった人々です。
財布のチャックに手を掛けた状態といえます。
しかし、そのような状態の顧客であっても、返信内容のせいで一気に購買意欲を失ってしまうこともあります。
特にメールは文章のみでのやり取りのため、書き手と読み手の感覚に齟齬が生じやすいのです。
誠実に対応したつもりでも、雑な扱いをされたと思われてしまうこともあります。
だからといって、いつも返信のための文章に時間を掛けるのは非効率です。
返信に具体性を持たせると売上がアップする
そんなときに一つだけ意識すると効果の表れることがあります。
それは何かというと「具体性」です。
具体的な単語を使うことで売上がアップするのです。
例えば次の2つの文章。
- お問い合わせの商品の在庫はございます
- お問い合わせのシャツの白色のMサイズはございます
多くの人が後者の方が丁寧に対応されたと感じるのではないでしょうか?
たったこれだけの違いですが、受け取った消費者の心理も大きく変わります。
そして支払う金額も変わります。
支払額は30%、顧客満足度は10%アップする
ヨーク大学のグラント・パッカード准教授らが、カスタマーサービスと顧客のやり取りを分析したデータがあります。
それによると、お問い合わせへの返信内容の具体性が1段階上がると、顧客の支払額が約30%アップすることが分かっています。
また、顧客満足度も約10%アップします。
お問い合わせへの返信は具体的な単語を使用するほど効果が高まるのです。
「こちらの商品」よりも「こちらのトップス」のほうが良く、「こちらのトップス」よりも「こちらのシャツ」のほうが良いのです。
なぜ具体的なほど売上がアップするのか?
なぜ具体的であるほど売上と顧客満足度がアップするのでしょうか?
それは顧客が「自分の要望をきちんと理解してほしい」という欲求を持っているからです。
「こちら」といった指示代名詞より「シャツ」と具体的な名詞を使われたほうが、理解されたと思いやすいので、満足しやすいということです。
また、具体的であるほどに「自分のためだけに向き合ってくれている」という感覚も持ちやすいです。
すると「買わない」という選択をすることに罪悪感さえ覚えるようになるのです。
これはお問い合わせへの返信だけではなく、実店舗での接客でも同様のことがいえます。
可能な限り具体的な言葉を使うことで、売上拡大につながるのです。
参考文献:Grant Packard, Jonah Berger, How Concrete Language Shapes Customer Satisfaction, Journal of Consumer Research, Volume 47, Issue 5, February 2021, Pages 787–806.