何年か前にマクドナルドが「スマイル0円」というキャンペーンをやっていました。
実際のメニュー表にもハンバーガーなどと並んで「スマイル0円」と記載されていました。
そして本当に「スマイルください」と言う客もいました。いまだに言う客もいるそうですが。
企業としては従業員にこのようなことをさせるのは止めるべきです。
なぜなら営業スマイルをすると感情が疲弊し、最悪な場合にはうつなどのメンタルヘルスの問題へと発展するからです。
マニュアルで強制された笑顔は心を疲弊させる
ノーサンプトン大学のクリスティーナ・キノーゼ・ガルシアらの研究チームがカスタマーサービスで働く人々の意識調査を行っています。
それによると顧客に対し前向きな態度を取ることに労力を費やしていると感じている従業員は感情的に疲れていることが分かりました。
また他の研究者の調査では、ファストフード店で働いている店員は、接客マニュアルで笑顔を強制されている場合にメンタルを病みやすいということも分かっています。
自分の意思ではなく仕事のために作る笑顔はメンタルに悪影響を及ぼすのです。
客単価の低い店は要注意
特に単価の安い店は注意しなければなりません。
高い店と安い店を比べたときにクレーマーが多いのは後者です。
これは店員のレベルの問題ではなく客の質の問題です。低所得層ほどクレーマー気質が多いのです。
そこで営業スマイルを振りまいてしまったら余計につけ上がらせてしまいます。
客が「自分は偉いのだ」と勘違いし出すのです。そして支払った金額以上のサービスを要求し従業員を心身共に疲れさせるのです。
営業スマイルを勘違いしてストーカーになる男もいる
また女性には別の問題もあります。
笑顔を向けられたときにそれを恋愛感情と勘違いするのは圧倒的に男性です。
これは進化論的にも当然です。動物のオスは「少しでも繁殖の可能性があるならチャレンジだ!」という気持ちになれなければ子孫繁栄できないからです。
反対に女性はヤリ逃げされるリスクがあるので、アプローチがあっても勘違いしにくいようになっています。これは研究でもある程度証明されていることです。
アメリカのスーパーマーケットチェーンが笑顔で接客するキャンペーンを始めたところ従業員から訴訟を起こされました。なぜなら男性客の一部がストーカー化したからです。
当然、その店はキャンペーンを中止しました。
売買契約において買い手の立場が上であるという決まりはないのです。従業員に無理に営業スマイルを作らせる必要はありません。
やりがいを持って働ける職場環境を作れば笑顔を強制しなくとも自然と良い表情になります。
従業員の表情が暗いのはなぜなのか?もう一度考えてみましょう。
参考文献:Cristina Quinones -Garcia, et al. (2012). The emotional effort of “service with a smile” as predictor of employees’ burnout.