働かないおじさん問題!リストラできないときの対処法

働かないおじさんとは会社に来ても大して仕事をするわけでもなく、ただ席に座ってネットや新聞を見たり、若手をつかまえて昔の武勇伝を語ったりする中年以上の社員のことです。

いるのかいないのか分からないその存在感の薄さから「妖精さん」などと呼ばれることもあります。

給料がそれなりに高いことも多いため、きちんと仕事をしている社員からすると面白くない存在です。

働かないおじさんは大企業だけでなく中小企業でも問題となっています。この問題を放っておくと企業の業績そのものに悪影響が出ます。

だからといってリストラしようにも日本の法律は労働者に非常に優しく出来ていますから、簡単に切ることはできません。

そこで今回は働かないおじさんに対して会社側が最低限するべき対処法を説明します。

優秀な社員からは遠いところに座らせる

もし社内で働かないおじさんと優秀な社員の座席が近くに配置されていたら、即座に席替えを行って離してください。

優秀な社員の仕事の邪魔になるからというだけではありません。

それ以外にも知らないうちに有害な影響が出てしまいます。

座席とパフォーマンスの関係

米国のコンサルティング会社が顧客企業の従業員約2,000人を対象に行った研究によると、誰の近くに座るかが仕事のパフォーマンスに影響するということが分かっています。

まず、一つ分かったこととして、お互いに異なるタイプの長所を持つ社員同士が近くに座ると短所があっても双方のパフォーマンスは上がります。

仕事は速いけれど雑な人間と、丁寧だけrど遅い人間が近くに座れば、お互いの良い部分の影響を受けてパフォーマンスが上がるということです。

ですから良い意味でタイプの違う同士の席を近くにするのは良いことです。

有害な社員の近くに近くに座ると伝染する

そしてこちらが重要なことなのですが、有害な社員の近くに座ると優秀な社員もダメになるということです。仕事のパフォーマンスが低下してしまうのです。

有害な社員とはセクハラやパワハラだけでなく、会社の方針に従わないようなタイプも含みます。働かないおじさんは有害な社員といえるでしょう。

つまり、働かないおじさんの近くにいると気づかないうちに優秀な社員も悪影響を受けてしまうということなのです。

働かないおじさんは座っているだけで会社に悪影響を与えてしまうため、出来るだけ優秀な社員や将来性のある社員からは離したところに配置しなければなりません。

働かないおじさんの悪影響を受けさせない方法

「うちの会社は席替えなんて無理」とか「追い出し部屋のようで気が引ける」という社長や管理職の人もいるかもしれません。(なんとも甘やかしな気はしますが…)

そんな場合は働かないおじさんの近くに座っている優秀な社員に「自分とあのおじさんは違うのだ」という意識を持たせましょう。

知らないうちに無能さが伝染してしまうということはオーストリアのヨハネス・ケプラー大学の実験でも分かっています。

この実験では無能な人の影響を受けた後にテスト問題を解くと、スコアが低くなるという結果が出ています。

しかし、この無能な影響を受けない方法があることも分かっています。

それは「この無能な人物と自分はこういう部分が違う」という意識を持つことです。この意識を持つことによって無能な人の悪影響を受けないのです。

ですから、優秀な社員には「あなたはあの働かないおじさんとは違うのだよ」ということをそれとなく伝えましょう。

直接的に言葉にすると本人の耳に入ったときにマズいですから「あなたはこういう行動ができるところが素晴らしい」と褒めてください。

もちろん褒める内容は働かないおじさんが出来ていないことに関してです。

座席のフリーアドレス化は効率を落とすことがある

いっそのこと座席を決めないフリーアドレスにして、全社員を毎日違う場所に座らせようと思った経営者もいるかもしれません。

しかし、組織の文化によってはフリーアドレスが著しく仕事の効率を落とすという研究もあるので注意が必要です。

自社の社員に合うかをきちんと検討してから導入すべきです。

働かないおじさんをリストラするとどうなる?

剛腕な社長であれば思い切って働かないおじさんをリストラしてしまうこともできるかもしれません。

訴えられたときのための証拠も揃っているならぜひそうするべきです。

しかし、働かないおじさんをリストラすると別の人が働かないおじさんになる可能性があります。

2:6:2の法則

組織における人材の構成比率は有能が2割、普通が6割、無能が2割といわれています。

「2:6:2の法則」と言われるもので複数の調査により、この比率はそれなりの信ぴょう性があるとされる。

ではこの無能な2割をリストラしたらどうなるでしょうか?

不思議なことに残った8割の人材の中で2割が無能になってしまうのです。

100匹の働きアリのうち、サボっている20匹を排除すると、残り80匹のうちの2割がサボりだした、という研究を聞いたことがあるかもしれません。これと同じことが人間でも起こるのです。

働かないおじさんは反面教師として役立っている?

なぜこのようなことが起こるのかハッキリとした原因は分かっていません。

しかし、一つの仮説として無能な2割が他の8割の反面教師として機能するからではないかという説があります。

つまり、きちんと仕事をしている8割が仕事をしない2割を見て「あんな風にならないようにしよう」と考えてしっかり働くということです。

ですから、その2割を排除してしまうと反面教師がいなくなるため、サボりだす人が2割ほど出てくるということです。

働かないおじさんも悪影響が出ないような場所に配置すれば反面教師としての役割を担ってくれるかもしれません。

働かないおじさん予備軍

余談ですが、働かないおじさんに対する不満を言い続けている若手社員がいたら注意したほうが良いでしょう。

私の顧客先にも働かないおじさんがいることは多いですが、そこの社長やベテラン社員に話を聞くと「あいつだって昔は『上の世代が仕事しない』って怒ってたんだけどなあ」と言うことがけっこうあります。

これはあくまで私の個人的な感覚ですが、働かないおじさんに文句ばかり言っている若手は将来の働かないおじさん予備軍かもしれません。

自分の仕事にやりがいを持って集中していれば他人の仕事ぶりなどそれほど気にならないはずだからです。

参考文献
Michael Housman, Dylan Minor. (2017). PRODUCTIVITY WHY YOU SHOULD SIT NEXT TO A HARD WORKER.
・MARKUS APPEL. (2011). A Story About a Stupid Person Can Make You Act Stupid (or Smart): Behavioral Assimilation (and Contrast) as Narrative Impact.

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