もう亡くなっているが父親が会社を経営していました。
いかにも田舎の零細企業でしたがそれなりに儲かっていたと思います。今風に言うなら親ガチャは当たりといえます。
そんなことはどうでも良いのですが…
高校生の頃に何度か父親に会社を継いだほうが良いのか聞いたことがありました。
大学で特に学びたいこともなかったので、継ぐのであれば少しでも役立ちそうな学部に行ったほうが良いのかもしれないとバカな息子なりに考えていたのです。
父親の答えは「どっちでも良いよ」といった適当な答えだった気がします。
しかし、その都度言われたことはよく覚えています。
「継ぐにしても自分で何かビジネスを成功させてからのほうが良いぞ」ということです。
そのほうが周囲からの評価も良いし、仕事もやりやすくなるからというのが理由でした。
当時は「そんなものだろうか?」と思っていましたが、今なら父親の言いたかったことがよく分かります。
そしてクライアントの社長やその子供にも同じアドバイスをしています。
二代目、三代目として会社を継ぐなら、親の会社とは全く関係のないビジネスで実績を出してからのほうが良いでしょう。
二代目社長は「ポンコツ」が基本の評価
二代目社長というのは、社員や取引先、銀行からは「無能なポンコツ野郎」という目で見られます。
どんなに優秀だったとしても親の会社を継いだという時点で基本の評価はポンコツからスタートなのです。
世間のイメージがそうなのだから仕方ありません。
そしてこの評価を覆すのは難しいです。
先代社長と同じ実績では、二代目の方が劣っていると思われます。
売上を2倍、3倍と伸ばしていかないと中々評価はされません。
評価されないことの問題は何かといえば、社員が不安になったりモチベーションが上がらなくなることです。組織が崩壊する可能性もあります。
また無能という評判が拡がり客先からの受注が減る可能性さえあります。銀行が融資してくれなくなるかもしれません。
二代目というのは既にあるものを引き継ぐだけですから楽だと思いがちですが、リスクは意外と多いのです。
ポンコツとして評価されないために
ポンコツとして評価されないためにどうすれば良いでしょうか?
それは自分でビジネスを立ち上げて成功させることです。
といっても自分一人が食えるレベルのフリーランスでも良いです。
もちろん親の会社がそれをサポートしてはいけませんし、同じような業種でないほうが良いでしょう。
たとえ個人事業であっても自分の力だけで仕事が出来ているという実績があると周囲の評価は全く変わります。
二代目というだけで気に食わないと思う人間はいますが、ポンコツという評価はされにくくなるのです。
知っている会社を見渡してみても、二代目が別のビジネスをやってから継いだケースでは、社員たちから「それなりに優秀なのだろう…」という最低限の評価を受けていることが多いです。
大きく成功させていれば、二代目として継いだときに期待を寄せる社員さえ出てきます。
「社長の息子だから継いだ」と思われるか、「自分でもビジネスを立ち上げられる能力があるが敢えて継いだ」と思われるかの差は非常に大きいのです。
小規模なビジネスさえ立ち上げられない人間に会社を継がせるのは危険
この話をすると「ウチの息子はそんなこと出来ないと思う」という社長がいます。
もしそのような不安が生じるなら息子や娘に会社を継がせるのはやめたほうが良いでしょう。
個人事業主レベルのビジネスさえ立ち上げられない人間に会社を継がせるのは非常に危険だからです。
もちろん、起業する能力と継いだ会社を成長させる能力は異なります。
しかし、贔屓目に見るはずの親から見ても不安に見えてしまうなら、あまり能力は高くないと思ったほうが良いでしょう。
ちなみに私の父親は私に起業家になってほしかったのだと思います。しかし、途中で向いていないということに気づいて方向転換したようでした。
絶対にビジネスを立ち上げてからでないと継がせてはいけないわけではありません。
しかし、それが出来るだけの能力が息子や娘にあるだろうか?という想像くらいはした方が良いでしょう。
子供を正しく評価して不幸な人生を送らせないようにすることも親の役目なのです。
後継者がいなければM&Aで売ってしまうというのも一つの選択肢です。