ビジネスの場では政治、宗教、プロ野球の話題はタブーといわれることが多いです。
私も新卒で入った会社の研修で言われたような気がします。
これらの話題は異常なほどのこだわりを持つ人もいるためトラブルの火種となりやすいものです。
政治と宗教に関しては戦争にまで発展することがあります。こういったことからもこれらの話題が危険なことは分かります。
政治についてはもう一つリスクがあります。
それはバカだと思われることです。
「合う合わない」ではなく「知性があるかないか」と判断される
ニュースや討論番組で政治家や評論家が意見を述べているのを見聞きしたときのことを思い出してみてください。
あなたの政治的見解と異なる意見を述べる人に対してあなたはどう思うでしょうか?
「この政治家は自分とは違った経験や視点を持っているのか、そうであればそのような意見になるのも当然だな」と納得する人は少数だと思います。
おそらく「こんな簡単なことも理解できないななんてこの政治家はバカなんじゃないか」と思うのではないでしょうか。
このように私たちは政治的見解の異なる相手に対し、「自分と合う合わない」ではなく「バカだから自分のように賢く考えられない」と評価してしまうのです。
「右か左か」ではなく「上か下か」という基準を適用するのです。
「頭が悪い」「事実を理解していない」と思われる
政治的見解が異なる相手に対して「バカだから自分のように正しい判断ができない」と考えてしまうことは研究からも分かっています。
ノースカロライナ大学のレイチェル・ハートマンらは、481人を対象にリベラル派か保守派かというアンケートを行いました。
それから、複数の言葉を提示し、自分と同じ立場の人間と反対の立場の人間の特徴を説明するのにどのような言葉が適しているかという判断をさせました。
その結果、政治的立場が反対の人間を評価するときは「頭が悪い」「事実を理解していない」といった知性のなさを意味する言葉こそ適していると考えがちということが分かったのです。
政治の話題を軽々しく出すその不用意さが問題
政治の話がタブーといわれていても、社内や客先との打ち合わせでおかまいなしに話してしまう人もいます。
禍根を残す可能性があると分かっていてする人もいます。
社長ブログで政治的主張を頻繁に投稿する人もいます。
意見の合わない人間とは商売する気がない!というのであればそれでも良いかもしれません。
しかし圧倒的に強い立場でもない限りはそのスタンスで仕事をしていくのは難しいといえます。
仮に意見が同じだったとしても、ビジネスの場で軽々しく政治の話をしてしまう不用意さに不安を持たれる可能性もありますので、気をつけましょう。
参考文献:Hartman, R., Hester, N., & Gray, K. (2023). People See Political Opponents as More Stupid Than Evil. Personality and Social Psychology Bulletin, 49(7), 1014-1027.