初対面のときに信頼を得られる人間と得られない人間がいます。
この違いの一つに顔の表情があります。
結論を先に言うと信頼される人間は「幸せそうな顔」をしています。
笑顔を作っているということではありません。笑顔は逆効果になる可能性があります。あくまでも幸せそうな顔です。
どういうことでしょうか?
理解しやすいように先に研究を紹介します。
アムステルダム自由大学の研究
オランダのアムステルダム自由大学が597人の中立的な表情の顔写真を1,087人に見せて評価してもらうという実験を行いました。
具体的には以下のことを評価させました。
- どんな表情をしているように見えるか?
- 顔の魅力、信頼できそうか、支配的に見えるかなど
結果、信頼できそうと評価される要因が分かりました。
それは幸せそうに見えること、魅力的なこと、アジア人であることです。
特に幸せそうに見える人間は信頼されやすいことが分かったのです。
反対に怒っているように見える人間は信頼されにくく、支配的な人間に見られるということも分かりました。
なぜ幸せそうな表情の人間が信頼されるのかという理由はシンプルです。「信頼できる人間は幸せそうな顔をしている」というイメージを多くの人間が持っているからです。
Emotion Overgeneralization(感情の過剰一般化)
この研究の結果を受けて初対面で笑顔を見せれば信頼されるのか?といったらそう単純ではありません。
最初にも書きましたが評価者に見せられたのは中立的な表情の顔写真です。笑顔でもなく、怒ってもいない普通の顔です。
それでも、それを見た人間は何らかの表情を読み取りました。
なぜかというと感情は社会的に重要な情報だからです。相手が仲間なのか敵なのかという判断にも必要です。
そのため人間は他人の顔から感情を読み取ることに敏感なのです。
本人は中立的な普通の顔をしているつもりでも、それを見た相手は何らかの感情を読み取ってしまうのです。
このような人間の習性を「Emotion Overgeneralization(感情の過剰一般化)」といいます。
あなたも誰かの顔を見たときに「中立的な顔だ!」とは思わないはずです。
「笑顔なわけではないけれど嬉しそうだな」とか「怒ってそうだな」と何らかの判断を下します。
しかし実は本人はそんなつもりはないかもしれないのです。
逆の立場で考えると、自分は中立的な顔をしているつもりでも相手からは「怒ってそう」と思われてしまう可能性もあるということです。その結果、信頼されなくなることもあります。
信頼されるためには口角を上げておくだけで良い
初対面で信頼されるためには意識して「幸せそうな顔」をしておくことが大切です。
そのためにはどうすれば良いかというと口角を少し上げておくのです。それだけで中立的な表情でも幸せそうに見えます。
無理に笑顔をつくってしまうと逆効果となります。
笑顔にはディシェンヌの笑顔という本物の笑顔と、作った笑顔があります。人間は無意識にこの2つの笑顔を見分けることが実験で分かっています。
作った笑顔と判断されると怪しいと判断されてしまいます。詐欺師のように思われて警戒される可能性もあります。
ですから、信頼されるためには口角を少し上げておくくらいで良いです。
マナー講師などがよくやっている口角を上げすぎた笑顔は鬱陶しく思われるのでやめましょう。怪しい笑顔は下手するとサイコパスと判断されかねません。
【補足】人種の割合について
表情については人種の影響を受けるので海外の実験はアテにならないと思うかもしれません。しかし今回の実験は人種の割合もバランスよく参加者を募っています。
使用された写真の人種の割合はざっくりですが黒人33%、白人30%、アジア人18%、ラテン系18%。
評価者の人種の割合は黒人6%、白人47%、アジア7%、ラテン2%。
もちろん写真に写っている人間も評価者もその他の人種がたくさんいます。
外国の研究にしてはアジア人の率が高いほうなので日本人も参考にしやすいと思います。
参考文献:Bastian Jaeger, Alex L. Jones. (2021). Which Facial Features Are Central in Impression Formation?